最重度の知的障がいのある息子が緊急入院…突然Ⅰ型糖尿病になり「医療的ケア児」に

病室で子どもに寄り添う両親

※これは体験談で医療アドバイスではありません。

わが家の日常は、ある日突然一変しました。

最重度の知的障がいのある三男が、風邪をきっかけに「Ⅰ型糖尿病」を発症してしまったのです。

お恥ずかしながら、自分の子どもがこうなるまで、私たちは「Ⅰ型糖尿病」についての知識がほとんどありませんでした…。

三男の体調の変化に違和感を覚えてから、いろいろ調べてみることから始まりました。

今回は、三男にみられた糖尿病の初期症状や、病院での検査・処置・入院生活、そして今後の課題についてお話しします。

目次

体調の異変〜Ⅰ型糖尿病の初期症状〜

私たちが「おかしいかも」と感じた三男の症状は、次のようなものでした。

・驚くほど水分を欲しがり、トイレにもよく行くようになった(※多飲多尿:1時間に3回以上)
・顔色が悪い
・水分をとる割に便秘気味
・体が冷たい(睡眠時も特に足が冷たかった)
・おむつが取れてからおもらししたことがないのに、おもらしする/夜中にトイレに起きる(一晩に2〜3回)
・体がだるそうで元気がない(ゴロゴロしがち、寝ることが多くなる)
・何もしていないのに急に体重が減少(三男は1か月で体重の1割ほどである4kg減りました)
・なぜか体を冷やしたがる(体は冷たいのに、寒くてもなぜか半袖になり、寒い場所に行きたがる)

過去に、同じ幼稚園で糖尿病を発症したお子さんのお話を聞いたことがあり、それを思い出して改めて調べてみると、Ⅰ型糖尿病の症状と共通点が多いことがわかりました。

すぐに、行きつけの小児科を受診することにしました。

※強いだるさ、嘔吐、意識がぼんやりするなどがあれば、救急へ!

病院での診察〜行きつけの小児科・総合病院〜

行きつけの小児科での診察

病院に着くと、すぐに尿検査と血液検査(血糖値測定用なのでかなり少量)をしました。

尿からは「ケトン体」が検出され、血糖値は600mg/dlでした。
※この時、食後2時間あたりでの検査でした。健康な状態なら血糖値は140mg/dl未満が目安です。

血糖値は明らかに大幅に高く、さらに“最終警報”とも言えるケトン体も出ている状況に、担当医からは、

「いつ緊急搬送になってもおかしくありません。明日、総合病院を受診しましょう」

と言われ、すぐに総合病院を予約していただきました。

そんなに状態が悪かったなんて…。

驚きのあまり背筋が凍り、思考停止してしまいました。

総合病院での診察と入院

予約していた小児科外来へ行くと、すぐさま検査がありました。

検尿はできましたが、採血は拒否感が強く、外来での採血は断念しました。

看護師さんが三男の特性などをふまえて、
「医師に話しておきますので、採血は後ほどにしましょう」
と提案してくれました。

尿から糖が多く検出されたこと、前日の小児科での検査結果、問診などから「糖尿病」はほぼ確定。そこで即日入院が決まりました。

病室は、トイレ・シャワー付きの個室を希望しました。

理由は、

・インスリン注射や血糖測定のたびに大泣きしたり泣き叫ぶことが予想され、他の患者さんの迷惑になる可能性があるため
・最重度の知的障がいの特性上、静かにすることが難しい。動き回ったり独り言が多く、時に大声になる。しかも注意すると逆効果になることすらあるため
・小学生であることに加え、常に保護者の介助が必要で、付き添う夫のストレスを少しでも軽減したいため
・トイレやお風呂へのこだわりが強く、個室内に設備があるほうが違和感が少なく、生活をスムーズにしやすいため

運よく希望する設備のある個室に空きがあり、入院できました。

病院での検査と処置について

うちの子の糖尿病はⅠ型?Ⅱ型?どんな検査をするの?

糖尿病かどうかは、血液検査・尿検査・症状などでほぼ判断できます。

ただ、同じ糖尿病でもⅠ型とⅡ型では、原因も治療も大きく異なります。今後の生活も大きく変わってきます。

◇Ⅰ型糖尿病
原因:自己免疫などで膵臓のβ細胞が壊れ、インスリンがほとんど出なくなる
発症:比較的急に(数日〜数週間で悪化することも)
体型:やせ型でも起こる(もちろん例外あり)
治療:基本はインスリン注射が必須

◇Ⅱ型糖尿病
原因:体質+生活習慣などでインスリンが効きにくい(抵抗性)/徐々に分泌も低下する
発症:ゆっくり進むことが多く、健診で見つかることも
体型:肥満・内臓脂肪が関係しやすい(ただし痩せ型のⅡ型もある)
治療:食事・運動+内服薬、進行するとインスリンが必要になることも

また、Ⅰ型糖尿病はケトアシドーシス(強いだるさ、吐き気、腹痛、深い呼吸、意識がぼんやり等)が起こりやすく、緊急対応が必要になりやすいのも特徴です。

さらに、Ⅰ型糖尿病は「小児慢性特定疾病」に該当し、※「医療的ケア児」の対象にもなります。

三男は入院当日に、

・採血(合併症がないか調べるため。腕からそれなりの量を採りました)
・尿検査
・尿を1日分ためる「24時間蓄尿の尿中Cペプチド検査」
 ↑これが、今回三男がⅠ型かⅡ型かを調べるための検査に該当します。
・毎食後の血糖測定(指先に専用の針を刺し、少量の血液を出して機械で測定)
・毎食後と、夕食2時間後のインスリン注射
を行いました。
(血糖値測定とインスリン注射は、Ⅰ型・Ⅱ型どちらであっても、初期治療として必要になることが多いようです。)

日を改めて眼底検査も行いました。糖尿病になると「糖尿病網膜症」が起きやすくなるためです。
今後は半年に1回くらいのペースで検査する予定です。


退院後は、はじめは2週間後、その後は現段階では1か月ごとに通院しています。

※「医療的ケア児」の定義は法律で定められていますが、相談窓口や利用できる支援・事業所の体制は自治体や地域によって差があります。詳しくはお住まいの自治体窓口や相談支援専門員さんに確認してください。

検査結果と絶望…温かなサポートと息子・夫の頑張りを見て決意!

検査結果は…

「状況からみても、おそらくⅠ型糖尿病で間違いないだろう…」

と、入院当日に担当医から告げられました。

それでも私たちは、ほんの少しの望みを持ちながら検査結果を待ちました。

数日後、検査結果が出ました。

Ⅰ型糖尿病でした。

これから一生、1日4回の血糖測定とインスリン注射を続けなければなりません。

敏感な体質の三男にとって、耐え難い現実を突きつけられました。

それは同時に、親への試練でもありました。

嫌がって大泣きする三男を、なんとか制止しながら針を刺さなければならない日々が1日4回…。

心がえぐられるような毎日が続くのかと思うと、本当につらい気持ちでした。

でも、こんな時に

「どうすれば、この子にとって一番負担が少なくできるか」

担当医、看護師さん、関係者のみなさんが毎日カンファレンスを行い、親である私たちに一生懸命寄り添ってくださいました。

その優しさと熱意にどれだけ励まされたかわかりません。

改めて医療従事者の皆様に、心から感謝の気持ちでいっぱいになりました。

ふりかかる課題と決意

しかし、「Ⅰ型糖尿病」が確定し、医療的ケア児に該当することで出てきてしまった課題は、日々の三男へのケアだけではありません。

私は教育関係の仕事をしていますが、職場の配慮で、スクールバスの停留所から車で数分の勤務先で働いています。
そのため、三男をスクールバスに乗せたあと、その足で職場へ行っていました。

ですが三男が医療的ケア児になったことで、スクールバスの利用ができなくなると学校から告げられました。
つまり、家から車で片道20分以上かかる学校まで、指定された時間に送り届けてから出勤する必要があります。
このことで、勤務時間を大幅に調整しなければならなくなりました。

Ⅰ型糖尿病は、一生インスリン注射が必要です。三男は1日4回です。

健常のお子さんなら、小学4年生頃には自己注射ができる子もいるかもしれません。
でも最重度の知的障がいのある三男が、大人になって自己注射できるようになる可能性は高くないと思います。

つまり、三男が外出先にいる場合は、私たちがそこに赴いてインスリン注射をしなくてはならないのです。
現段階では、学校の給食前や放デイのお弁当前などです。

さらに、現在利用している放課後等デイサービスが2か所、ショートステイが1か所あったのですが、
「今後の利用について検討させてほしい」
と言われました。

そこですぐに医療的ケア児も通所できる放デイを探しましたが…医療的ケア(インスリン注射)に対応できる放デイは、なかなか見つかりませんでした。

重度心身障がいのお子さんが通える場所は少ないながらもいくつかありますが、
「医療的ケア」の中でも、インスリン注射に対応してくれる放デイやショートステイがないのです。

「あ、私、仕事を続けていくのは難しいかも…。
…そうなると家計的にもかなり厳しくなる。
お兄ちゃんたちの進学もあるのに、どうしよう…」

そして何より、三男がこんなにもたくさんのことを抱えて生きていかなければならない切なさ――。

「なんで…なんでこの子にこんなにたくさんの試練が…」

いろいろ考えるほど心がかき乱され、目の前が真っ暗になり、涙が止まりませんでした。

家族の前では心配をかけないように気丈に振る舞っていましたが、歯を食いしばり、心を無にして過ごしていました。

でも、誰もいない洗面所や布団の中で、号泣してしまうこともありました。

…それでも、私より実際に入院に付き添い、実際に三男をケアしている夫のほうが、さらにやり場のない思いを抱えてつらいはず…。

毎日、入院している三男と夫のもとへ通い、少しずつインスリン注射や血糖測定を受け入れて頑張る三男と気持ちを切り替えて前向きに三男のケアに取り組む夫の姿を見て、

「子どもも夫も、前を向いて歩み始めている。あとは母親である私が頑張らなきゃ!!」

そう思った瞬間、私のスイッチが入りました。

ここからもう一度、状況を整理して情報を集め、どんな時もしっかり前を見て進むことを強く決意しました。

…次に続く

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